くまごろうです。当然ですが試験区分選びを失敗すると試験に落ちます。

え、最初は安全確保支援士受ければいいんじゃないの?

君にとって一番受かりやすい試験区分は情報処理安全確保支援士とは限らないよ。
各試験区分の特性を考慮して試験を選ぼう。
うちの会社に盲目的にとりあえず情報処理安全確保支援士を選んでいる人が多数います。適性のない試験区分に挑戦しても損をするだけです。でも本人は気づいていないんですよね。
この記事では、以下を解説していきます。
- 試験の難易度はどのような要素で決まるのか
- どのように試験区分を決めればいいのか。くまごろうの場合
- あなたにおすすめの試験区分
試験の難易度はどのような要素で決まるのか
各試験区分の難易度はどのような要素で決まるのでしょうか。
例えば試験の主催団体である情報処理推進機構(IPA)は、各試験区分を同列のものとして扱っています。
ただ国というレベルであれば、ITストラテジスト試験(ST)は医師や弁護士とならんで、労働基準法第 14 条における「専門的知識等を有する労働者」に指定されているため、一つ頭が抜けている印象があります。
社会一般的に言えば、最高難易度はITストラテジスト試験(ST)ですし、一番簡単なのは安全確保支援士(SC)だと言われています。
合格率でいえば、例えば令和元年秋と2年秋を比較すると、合格率14.4%のネットワークスペシャリスト試験(NW)が一番低く、合格率19.4%の安全確保支援士(SC)が一番高いという結果になりました。
色々な観点がありますが、これらは試験同士をあえて比較すれば難易度に差があるというだけで、これらがその人にとって受かりやすい試験かどうかは別問題だと考えています。
くまごろうとしては以下の3つが特に重要ではないかと考えています。
- 試験区分の形式
- 試験区分の経験
- キャリアパスを考慮した試験区分の特性
試験区分の形式
論文試験の経験の有無は、試験の合否に大きな影響を及ぼします。
午後Ⅱが記述形式の試験区分の場合、その対策は基本的には午後Ⅰと同様になります。午後Ⅱが論文形式の試験の場合、論文試験の対策が別途必要です。
論文試験の対策は「初めて論文試験を受験する人」、「論文試験に合格したことがない人」、「すでに他区分で論文試験に合格したことがある人」で異なります。
初めて論文試験を受験する人
初めて論文試験を受験する人は、以下のような対策を行う必要があります。
- 合格論文で必要な記述レベルを学ぶ
- 論文の書き方を学ぶ
- 論文のネタ集め
- サンプル論文を作成する
これらは書き出せば4行ですが、実際に対策すると結構大変です。
対策時間は人それぞれです。文章を書くのに慣れている人であれば「論文の書き方を学ぶ」もすぐにクリアできると思います。逆に社会人経験が少なければ、文章を書くのに慣れていないため、合格水準に達する論文を書くのは結構厳しいと思います。
そもそも「論文試験に合格したことがない人」と同様にあなたが準備した論文が合格水準に達していない可能性があります。詳しくは「論文試験に合格したことがない人」も参考にしてください。
また論文に対する経験があれば「論文のネタ集め」がほとんど必要ない可能性もあります。逆に経験がない(あるいは少ない)場合、論文のネタを捏造してでも作り出さないといけないため、かなり大変です。
論文試験に合格したことがない人
「論文試験に合格したことがない人」も、前回試験で合格しなかった要因が明確に判明している場合はよいのですが、そうでなければかなり大変です。
あなたの不合格になった論文が、どの点で不合格になっているのかを正確に特定し、対策を施す必要があります。
不合格になる論文は、
- 論文が設問で要求している内容とずれていた
- 論文が具体的ではない
- 論文の論理が破綻している
このような理由が考えられますが、自分だけでこれらを特定するのは難しいです。人間って結構文章に個性が出ており、それを当然だと思って日々文章を書いています。自分が書いている文章が自然だと思っていればいるほど、自分だけで矯正することは困難です。
対策としては、論文の添削をしてもらうことがおすすめです。添削サービスを利用するでもよいですし、合格者に添削を依頼してもよいです。周りに合格者が存在しなければ、未受験の方でもよいので他者に添削をお願いしてもよいでしょう。
そのうえで原因が特定できれば、「すでに他区分で論文試験に合格したことがある人」と同じように大きな負担なく合格できるでしょう。
すでに他区分で論文試験に合格したことがある人
すでに他区分の論文試験に合格したことがある人は、論文のネタ集めとサンプル論文の作成が主な対策になります。
また論文に対する経験があれば「論文のネタ集め」がほとんど必要ないため、試験対策に費やす時間はかなり少なくすみます。
午後Ⅱが記述形式の午後Ⅰの記述試験と、午後Ⅱが論文形式の午後Ⅰの記述試験では、午後Ⅱが論文形式の午後Ⅰの記述試験のほうが簡単な傾向があるように感じます。よって論文対策に費やす時間が少なければ、最も少ない時間で合格できる可能性があります。
試験区分の経験
試験区分への経験は、多いほうが当然有利です。
経験がない(少ない)と基礎知識から勉強が必要になります。
論文試験では、論文のネタ集めが試験勉強の主軸になりかねないです。そうやって集めた論文のネタも、経験者には勝てないことが多いです。想定していない論文テーマが出題された場合の対応力も低いです。
くまごろうも経験のない試験区分の論文試験を受け続けてきたので、ずっと苦しんできました。
各試験の特徴については下記を参照してください。
キャリアパスを考慮した試験区分の特性
試験区分の特性も合格のしやすさに影響を与えます。
高度試験は5グループに分けることができます。
第1グループ
- 情報処理安全確保支援士試験(SC)
第1グループは情報処理安全確保支援士(SC)のみです。情報処理安全確保支援士は高度区分の中で入門に位置づけられがちな資格です。みなさん登竜門だと考えているため、初めて受験される方が多いと思われます。
高度試験はどれも同じような合格率ですが、初めて受験される方が多いということを考慮すると、おそらくもっとも難易度が低い試験になっています。
他の試験区分では年に1回の開催であり、再受験するときには勉強内容が忘れていることも多いです。その点、情報処理安全確保支援士試験であれば、春と秋の年2回試験を受けられるのもポイントです。
第2グループ
- データベーススペシャリスト試験(DB)
- ネットワークスペシャリスト試験(NW)
- エンベデッドシステムスペシャリスト試験(ES)
第2グループは情報処理安全確保支援士以外の記述系試験です。この3試験は該当する試験区分の経験を持っている方が受験している場合が多く、該当する業務経験を持っていない方の受験は不利だと思われます。
やっぱりルーターを触ったことがないのにネットワークスペシャリスト試験を受験するのは不自然です。そんな人はあまりいないと思われます。くまごろうはやりましたが。そして落ちましたが。
情報処理安全確保支援士試験の次に初めて受験する人が多く、そういう意味では後述する論文系試験より難易度は低いと思われます。
第3グループ
- システムアーキテクト試験(SA)
- ITサービスマネージャ試験(SM)
第3グループはシステムアーキテクト試験とITサービズマネージャ試験です。論文試験の登竜門的な試験です。
キャリアパス的にも記述系試験はエンジニアの資格ですが、論文試験はマネジメントする側の資格となっています。
はじめて論文を書かれる方が受験する場合が多いので、ある程度論文を書ければ受かるかもしれないです。後述する論文試験のように、内容が合否に影響を与える割合は少ないかもしれません。次に紹介する試験区分と比べると難易度は下がると思われます。
そもそもなんでこの試験区分は両方とも春試験なんでしょうね。くまごろうはそれが不思議です。
第4グループ
- プロジェクトマネージャ試験(PM)
第4グループはプロジェクトマネージャ試験です。第3グループと第5グループの中間に位置しています。秋試験の論文系試験は、システム監査技術者試験とプロジェクトマネージャ試験の2択となっており、プロジェクトマネージャ試験が初論文の方も多いのではないでしょうか。
確証はありませんが、毎年受験して落ちるを繰り返している人が多い印象です。
総合すると難易度は記述試験よりは難しいと思いますが、第3グループの試験区分と比べて難しいかは判断が難しいところだと考えています。正直、くまごろうも疑問を持っています。
第5グループ
- ITストラテジスト試験(ST)
- システム監査技術者試験(AU)
第5グループはITストラテジスト試験とシステム監査技術者試験です。受験されているほとんどの方が論文試験経験者だと思われます。
いきなり最高難易度だと認知されているITストラテジスト試験を受験する人なんていないですよね。同様にプロジェクトマネージャ試験を合格せずに、システム監査技術者試験を受験する人もいないと思われます。
キャリアパス的にもコンサルタントや監査人は最上位の職種です。
文句なく最高難易度、IT技術者の試験生活を締めくくるにふさわしい試験区分だと思われます。
くまごろうの場合
くまごろうの場合、各試験区分の難易度は以下になります。
- データベーススペシャリスト試験(DB)
- システムアーキテクト試験(SA)
- ITサービスマネージャ試験(SM)
- 情報処理安全確保支援士試験(SC)
- プロジェクトマネージャ試験(PM)
- ITストラテジスト試験(ST)
- システム監査技術者試験(AU)
- ネットワークスペシャリスト試験(NW)
- エンベデッドシステムスペシャリスト試験(ES)
「これまで解説してきた内容と全然違うじゃないか!」って怒られそうですが、全区分を受験してみた正直な感想です。
この順位になっている理由は、くまごろうの職務経験と適正にあります。
くまごろうの職務経験
くまごろうは基幹業務パッケージの導入をメインに扱うエンジニアです。
パッケージのカスタマイズはよく行っており、その時にデータベース設計なんかもやっていたので、データベーススペシャリスト試験は相性よかったと思っています。
逆に扱っているパッケージソフトはイントラネットの内部でしか動作しないので、必然的に「セキュリティ」とか「ネットワーク」の経験はほぼないです。ルーターのコンフィグ書いたことないです。それらの知識が必要であれば、別部署の専門家を引っ張ってきます。なので適正は皆無です。情報処理安全確保支援士試験やネットワークスペシャリスト試験が難しく感じるのは当然です。
エンベデッドシステムスペシャリスト試験を最も難しい試験にしているのも同様の理由です。組込みシステムなんて触ったことないので、これも当然かなと思います。
対して論文試験は少なからず適性がありました。
プロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャの業務は、くまごろうのキャリアパス上の業務であることや、先輩社員の仕事ぶりを見ていました。なのでシステムアーキテクト試験やプロジェクトマネージャ試験は取り組みやすかったです。
同様にITサービスマネージャ試験も取り組みやすい試験でした。社内にコールセンターがあり、導入しているパッケージの保守も担当していたので、ITサービスマネージャの業務を理解できたからです。
システムの導入では、導入先会社の窓口担当者とお話をする機会がよくあります。彼らの関心ごとは、「利益を向上させるためにはどうすべきか」「効果的な内部統制を実現するには、どのようにすべきか」です。これらはITストラテジスト試験やシステム監査技術者試験で扱う範囲内のことです。これらの理由から取り組みやすかったのではないかと考えています。
くまごろうの適正
くまごろうの適正も関係しています。
くまごろうは文章書くのが大嫌いです。文字は汚いし、漢字は書けないです。大学受験で選択式の試験しか受験していないくらいには、筋金入りです(事実、センター利用のみで大学に入学しています)。
ただ結果として論文の適正はあったみたいです。
事実として、半分しか書けずに提出した最初のシステムアーキテクト試験以外の論文試験は、すべて合格しています。いまだに苦手意識はありますが、適性があったという事実は認めなくちゃいけないかなと思っています。
あなたにおすすめの試験区分
いかがでしたか。試験区分の参考になりましたか。今回紹介した3つの要素は、受験される方によってその比重は変わります。
あたたにとってのおすすめ試験区分は、
- 試験区分の形式
- 試験区分の経験
- 試験区分の特性
この順番で考えていくべきだと思います。
一番最初の考えるのは「試験区分の形式」についてです。論文試験への対策コストがどれくらいかかるかによって、「試験区分の経験」をどこまで優先できるかが変わります。
日々の業務で長文を書いている方にとっては、論文試験の対策コストは低いため、論文系の試験区分に挑戦してもよいかもしれません。あまり報告書等を書いていない方は、おとなしく記述系の区分を受験すべきかもしれません。
次に考えるのは「試験区分の経験」です。記述/論文どちらでも狙えると思えたならば、ご自身が経験のある試験区分を受験すべきです。
最後に考慮すべきは「試験区分の特性」です。「試験区分の経験」でご自身にあまり一致する区分がなければ、消去法的に試験区分の特性で選択されるのもありだと思います。
これらを考慮して、より合格のしやすい試験区分を選択してください。
今日の解説はここまでです。
また次回お会いしましょう。それでは!!
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